楽器を撮る

10年近く前に製作した楽器のオーナーさまが定期点検で来訪され、お預かりしている間に許可を得て楽器を撮影させていただいた。

なにぶん一眼を使いはじめて9年ほどの間、写真は自分にとってごくごくプライベートな楽しみであって、第三者に見せることを意識して撮影することはほとんどなかったので、先日の新作の撮影以来色々と試行錯誤な体験が楽しい。

自然な光が生み出す一瞬の煌めきや表情を捉えるのも写真の醍醐味と思いますが、ストロボを使うと光を操ることの難しさ、奥深さもまた計り知れないなあと思います。

あまり深く考えていなかったのですが、実際に撮影してみると、見られることを意識することはより美しいものを作りたい、というモチベーションにつながることにも気づかされました。次はここをもっとこうしたい、という欲が溢れてきてよい形で次に繋がりそうな予感。

久しぶりに再会した楽器は随分長いこと弾いていただいているうちに、本当によく鳴り、表情豊かな音になってきていて、自分でもよいものを作れている手応えはあったのですが、楽器として一段上のステージに上がっていくにはやはり弾き手に育てていただくというプロセスが不可欠だなあ、と実感。

手放しで喜べないのは楽器がよく鳴るようになってきた一方でウルフ音(共振音)が出てきていること。ウルフはよく鳴る楽器の宿命などとも言われますが、奏者にとってはそんな悠長なことを言っていられない障害になることも少なくないので、今後この難題とどうやって向き合っていけるか、時間をかけてできることを試させていただこうと思っています。

写真はWorksに掲載しています。

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